太陽光発電の歴史

太陽光発電の歴史まとめ

 

・1954年、太陽電池は、米国における発明で始まる。
・太陽光発電技術の発明が大幅に周囲を取り巻く環境が変化していくなか、
飛躍的に改善されるために50年以上年要した。
・自然源からエネルギーを発生するので、その非常に低い環境負荷が利点。
・枯渇の心配が無い。
・これは、原油価格の高騰、化石燃料や有害物質の消費によるCO2排出量の問題に象徴される
問題を解決する可能性を秘めている。
・太陽光発電は、次世代エネルギー、技術革新と普及が加速度的に進行している
最有力候補として、地球規模で期待されている。

 

●1954年に開発・誕生
・太陽電池は1954年にアメリカのベル電話研究所という研究施設でピアソン、フラー、シャピンという3人の
研究者によって発明された。
・この時に発明されたのはシリコン太陽電池と呼ばれるもの。
・トランジスタの研究過程において副産物のように発明された。
・つまり、最初から太陽電池の開発を意図していたわけではなかった。
・太陽電池は物質に光を当てると電気を発生させるという光起電力効果を、論理的な基礎としている。
・この光起電力効果については1839年に発見されていた。
・この光起電力効果をもとに、それぞれp型n型と呼ばれる半導体を繋ぎ合わせるとp型にはマイナス、
n型にはプラスの電子に近いものが発生。
・このことにより両者を接合する部分に電位差が生まれ、電子が一定方向に流れる。
・これが発明者であるピアソンらが発明したpn接合と呼ばれる発電の理論。

 

●1958年に初の実用化
・当時の太陽電池は大変高価なものだった。
・特殊な用途として人工衛星への電力供給があった。
・世界で初めて太陽電池が実用化されたのは、人工衛星。
・1958年にアメリカ海軍がヴァンガード1という人工衛星を開発、打ち上げに成功。
・このヴァンガード1は人工衛星の歴史においてもかなり初期のもので、現在でも地球の軌道上にある。
・このヴァンガード1に太陽電池が搭載された。
・ヴァンガード1には太陽電池が搭載され、打ち上げから6年もの期間にわたり人工衛星の機能を
維持するための電力を発電し続けた。
・これが太陽電池にとって初の実用化事例。

 

●1973年の第一次石油危機
・1973年に勃発した第四次中東戦争により中東産油国による原油価格引き上げ。
・一部国家への禁輸措置によって第一次石油危機を引き起こした。
・高度経済成長はこの第一次石油危機によって終了した。
・これを契機に日本国内では将来、資源の枯渇によってエネルギー危機が訪れることが危惧されるようになる。
・この時に注目されたのが太陽光エネルギー。
・日本には古くから太陽熱を利用する文化があった。
・代表的なものが太陽熱温水器。
・それは日中に降り注ぐ太陽光の熱によって水を温め、入浴や洗い物などに広く利用されていた。
・太陽熱温水器は電気やガスといったインフラが未発達な地域において、
利便性を目的として利用されていたが、第一次石油危機によって石油の価格が高騰すると、
都市部においても省エネルギーを目的として普及が進んだ。
・翌年、当時の通産省が策定したサンシャイン計画という長期的なエネルギー戦略には
太陽光発電が盛り込ていた。

 

●1980年、ソーラーシステム普及促進融資制度
・サンシャイン計画という国の具体的な長期計画により実行に移される。
・太陽光エネルギーの開発や利用促進を進めるための組織として日本太陽エネルギー学会や
ソーラーシステム振興協会、そして1980年には現在でも新エネルギー開発の中心的な役割を担っているNEDO(新エネルギー総合開発機構)が創設される。
・これら官・学・産の三者が一体となった太陽光エネルギー開発体制が整う。
・この計画は後述のニューサンシャイン計画に引き継がれ、その後の大きな成果につながる。
・太陽光エネルギーの利用を促進するために「ソーラーシステム普及促進融資制度」が1980年に設立。
・個人が住宅にソーラーシステムを設置する際の費用を利子補給の形で低利融資する支援制度で、
16年間の継続期間に累計27万4,000件の融資件数。これにより普及が一気に進む。

 

●1993年、系統連系技術ガイドライン策定
・太陽光発電装置を屋根などに設置している家庭は、
太陽光のある昼間の電力を全て太陽光発電でまかなうことが出来るうえ、
ほとんどの家庭において昼間の太陽光発電量は需要を上回るため余剰電力が発生する。
・電力は石油などの燃料と違って貯蔵しておくことが出来ないため余剰電力は利用されずに
捨ててしまうことになる。
・一方、太陽光発電は太陽光のない夜間は発電することが出来ないため、
夜間の電力需要は電力会社からの電力供給に頼ることになる。
・昼間は余った電力を捨てている一方で、夜間は電力を購入するのは不経済。
・そこで考案されたのが系統連系です。
・系統連系とは、昼間に太陽光で発電された余剰電力を電力会社が買い取ること。
・つまり、自宅が太陽光発電所となり電力が余っている時は電力会社に供給する側に回り、
反対に電力が足りない場合は供給を受けるという双方向の供給システム。
・これにより昼間の余剰電力を売電し、夜間に使用した電気料金に充当することが出来る。
・つまり、太陽光発電の設置コストをより早く回収することが可能になる。

 

●1993年、ニューサンシャイン計画
・石油危機を契機に策定されたサンシャイン計画。
・太陽光エネルギーを石油の代替エネルギーとして利用することが盛り込まれ、
推進されてきた。
・そしてムーンライト計画では省エネルギーが推進。
・これらの計画は日本社会を省エネ社会として定着させることに成功。
・サンシャイン計画やムーンライト計画は石油危機が契機となっているため、
原油の高騰など資源コストが増大する事態に備えることが主な目的。
・ところが時代の変化とともに、CO2排出などが原因とされる地球温暖化が世界規模で問題視され始める。
・日本が進める代替エネルギー開発や省エネルギー政策は同時にCO2排出を抑えることにもつながるため
環境保護にも有効であると注目された。
・日本政府は、それまでエネルギーセキュリティを目的として進めてきた各計画に地球環境保護という目的を追加し、総合的に推進するニューサンシャイン計画を1993年に策定。
・ニューサンシャイン計画では、これまでの計画を引き継いで太陽光発電に重点が置かれ太陽光発電のさらなる普及促進のために技術開発が進められた。
・ニューサンシャイン計画もそれまでのサンシャイン計画と同様に大きな成果を上げた。
・日本を太陽光発電の技術力、生産量、そして導入数において世界一の地位に押し上げた。

 

●1994年に新エネルギー導入大綱策定
・サンシャイン計画、ニューサンシャイン計画は当時の通産省が策定して推進してきた。
・通産省という一省庁の取り組みではなく、国全体としてエネルギー問題に対してどう取り組むかという指針づくりが必要であるという意見が多く出され、1994年12月に「新エネルギー導入大綱」として、総合エネルギー対策推進閣僚会議で決定。
・この大綱によって、日本は太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー、廃棄物発電などのリサイクル型エネルギー、そしてクリーンエネルギー自動車や天然ガスコージェネレーションといった、従来型エネルギーの新利用形態を積極的に導入するべきであるという国の方向性が示された。
・この大綱という総論に基づき、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」の制定や規制緩和、利用促進のための金融的支援などが具体的に開始された。

 

●京都議定書
・環境問題やCO2排出などのニュースにおける重要な議定書
・COP3と呼ばれる第3回の気候変動枠組条約締結国会議が京都で開催された時に採択されたため、京都議定書と呼ばれる。
・この会議はその後も開催が継続されているが京都会議において重要な決定がなされたため、
1997年に採択された議定書が現在でも重要視される。
・地球温暖化の大きな原因とされている温室効果ガスの排出を削減する具体的な数値目標を設定し、実現に向けて条約締結国が努力すること。
・最も問題視されているのが二酸化炭素、つまりCO2。
・京都議定書において、日本は1990年の数値と比較して温室効果ガスの排出を6%削減することを世界に約束。
・京都議定書は2005年に正式発効。
・日本でも数値目標を達成するために「マイナス6%キャンペーン」が展開。
・CO2排出を削減するには二つの方法が有効。
・一つはCO2を吸収する森林の機能を強化すること。
・もう一つは石油など化石燃料の使用を減らし、新たなCO2排出を削減すること。
・太陽光発電はこの後者に対して大変有効なエネルギーであることから、電力事業者に対し、発電に利用するエネルギーに占める新エネルギーの比率を高めることを意図した特別措置法を制定している。

 

●1999年、日本の太陽電池生産量世界一になる
・国全体として省エネルギーを推進するために制定されたのが省エネルギー法。
・正式には「エネルギー使用の合理化に関する法律」という名前の法律。
・正式名称が示しているようにエネルギー使用のムダをなくし、合理化することによって省エネルギーを進めることが目的。・具体的には床面積の合計が2,000平方メートル以上の建物を建築、増改築する場合には省エネ措置に関する報告の義務が課せらる。
・報告の内容によって改善指導が行われ、従わない場合には罰則あり。
・省エネルギー法の導入により、それまではエネルギー使用に関して特に何も考慮しなくても良かった建築工事に、新たな要素が加わることになる。
・これにより、国がエネルギー問題や環境問題に対して積極的に取り組むという姿勢が明確に示される。
・ニューサンシャイン計画の進展によって技術的には順調な発展を続けていた太陽光発電は、この省エネルギー法の導入とともに改めて注目を集める。
・省エネルギー法に定める基準をクリアするには太陽光発電が大変有効。
・こうした国の誘導政策は功を奏し、太陽電池の需要が拡大するとともに生産量も拡大した結果、日本は太陽電池生産量で世界一となる。
・世界一を誇るシェアはその後も継続。

 

●2001年、太陽光発電システム技術研究開発
・NEDOと呼ばれる独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構はニューサンシャイン計画策定時に新エネルギー開発推進のために発足。
・太陽光発電技術の開発や利用促進について、現在でも中心的な役割。
・NEDOは太陽光発電の普及をさらに進めるためには技術面でのさらなる発展が必要であると考えており、太陽電池のモジュール効率や寿命の向上、またモジュールや蓄電池などの製造コスト低減に関して具体的な数値目標を提示。
・「革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発」の公募を開始。
・「革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発」の公募制度は、これまでの概念にとわられない発想やアイディアによって、NEDOが掲げる数値目標を達成しうる研究機関に対しては委託研究の形で研究費を負担するというもの。・これは、現在太陽電池や太陽光発電の分野において世界をリードしている日本が、さらに今後も世界をリードし続けることが出来るようにするための国家戦略。

 

●2002年、RPS法の成立
・RPSとは「Renewables Portfolio Standard」という英語の略語。
・日本語に訳すと「再生可能エネルギー利用割合基準」。
・電気を供給している電気事業者に対し、需要家に供給・販売している電力量の一定割合を新エネルギーで発電された電力でまかなうという基準を定め、それを義務づける制度。
・火力や原子力などの資源に依存していた発電だけでなく、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによる発電を一定割合以上含んでいなければならないということ。
・RPSの基準をクリアするためには、電気事業者は自ら太陽光発電所や風力発電所を設置して一定割合以上の電力を、そうした再生可能エネルギーの発電所で得るという方法が考えられる。
・一方で系統連系という方法を用い、各家庭に設置された太陽光発電システムからの余剰電力を購入することによっても可能。
・結果、RPSは電気事業者及び各家庭において太陽光発電などの再生可能エネルギー発電を促進する効果が期待される。

 

●2007年〜
・積極的な研究開発、そして普及促進のための助成制度などが功を奏し、太陽光発電分野において日本は生産量、設置数ともに世界一の地位を守り続けてきた。
・しかし、その地位に異変が生じた。
・太陽光発電システムの生産量こそ日本が依然として首位を守っていますが、設置数においてはドイツが日本を追い越した。
・日本では、国の助成制度が終了したことによって設置数の伸びがマイナスに転じるなど、普及促進に課題を残した。
・設置数世界一のドイツで稼動している太陽光発電システムのほとんどは日本製。
・環境先進国であるドイツにも認められている日本の太陽光発電システムを、自国でもさらに普及させるための施策が待たれる。

 

●2008年〜現在
・太陽光発電が持つ唯一に近い欠点である経済性がある。
・太陽光発電は導入が進むにつれてコストが低減されているが他のエネルギーによる発電に比べるとコストが高い。
・一般家庭に太陽光発電システムを導入する際にも多大な設置コストが普及を遅らせている。
・日本国内では太陽光発電の技術革新と普及による低コスト化をさらに進める方法を模索中。
・ドイツをはじめとするEU諸国では、環境意識の高まりから太陽光発電が政策的な意図で積極的に導入。
・この動きは世界各国にも波及。
・いずれ訪れる資源枯渇に備えることと、CO2排出を削減するためにメガソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電所の建設が相次いつぐ。
・世界規模で爆発的普及の前夜である。